冬は地上部のほとんどを枯らせて、深い眠りについていた夏のハーブたちが続々と目を醒まして成長をはじめました。

2018-03-19--Estragon

まずはエストラゴン、またはフレンチタラゴンとも呼ばれます。
キク科ヨモギ属(Artemisia )の代表的な料理用ハーブです。


日本では一般に、フレンチタラゴンとロシアンタラゴンの2種があるとして区別されていますが、植物学的には両者は同種(Artemisia dracunculus )で、いずれも原産地は中央アジア、シベリアから中国北部。

前者はヨーロッパで代々挿し木で栽培されてきた品種で、後者はタネの出来る野生の変種(var. inodora Bess 和名ホソバアオヨモギ)が栽培化されたものです。
(小学館版 園芸植物大辞典 参照  
※両者を別種として、ロシアンタラゴンに別の学名を付しているものがありますが、これはシノニム(同種に別の学名が付けられたもの。ドイツ語版Wikipedia参照)

南ヨーロッパで栽培されてきたフレンチタラゴンの方は、まれに花が咲くことがあってもタネは出来ず、もっぱら挿し芽や株分けで増やします。一方、中国では野生種を3000年前から利用していた記録があるそうです。("Das große Handbuch der Kräuter und Heilpflanzen" KOMET Verlag版 参照)

セリ科のアニスに似た甘い香りとヨモギのちょっと青臭い清涼感が合わさった独特な芳香があり、様々な料理…特にサラダのドレッシングやマリネのつけ汁、クリームやフレシュチーズを使った料理、卵料理、鶏肉料理、魚介料理の香り付けと…幅広く用いられます。

一方、タネで売られているのは、いわゆるロシアンタラゴン=野生種系統で、姿形はよく似ていますが、ほとんど香りはありません。

旺盛に育ち、青葉がサラダに使われますが青臭く苦いばかりであまり美味しいとは言えません。一度作って懲りました。

2019-03-05-Estragon


ほんの10日前はまだ芽が動き始めたばかりでした。


2016-06-16-Estragon

成長期である初夏には、こんな風に壁掛けプランターいっぱいに育ちます。
ドラゴン=竜の様に茎を四方に伸ばしていきます。

タラゴンはもともと氷河期の植物ですから、日本の夏の暑さや湿気に弱く、盛夏になるとやせ細って白い粉の様なカビが生えて病気になったり、アブラムシやハダニたかられたりして、ひどい場合には枯れてしまいます。

ですので、地植えにはせず植木鉢で育てて、雨や夏の日差しから避難できる様にします。

一番いいのは、写真のようなハンギング(壁掛けタイプ)のポットに植えて育てることです。これだと常に風通しの良い状態で過ごさせてあげられますし、葉や茎を収穫するのにも便利です。