少し前に壁掛けポットに植え替えてやったオレガノ・グリークが、春の到来を喜ぶ子どもたちの笑顔の様に、新しい葉を伸ばし始めました。

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オレガノも、夏に成長するシソ科のハーブで、パセリ、チャイブスなどとともに最も広範囲に利用できる調理用ハーブの代表選手です。

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オレガノの和名は「花薄荷 ハナハッカ」と呼ばれるくらい花も魅力で、盛夏に薄桃色の可愛い花をたくさん咲かせてくれます。

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わが家では、20数年前に種まきから育てた株が庭や畑のあちこちで健在で、いまでも毎年花を楽しませてくれています。

それとは別に、冒頭の写真でご紹介したオレガノ・グリークという香りの良い品種を、キッチンハーブエリアで、主に壁掛けポットに植えて育てています。こちらはハーブ専門のナーセリー(栽培農家)から購入したものです。

普通のオレガノはとても丈夫なハーブで、他のハーブ類が弱ってしまう高温多湿の日本の夏でも元気に花を咲かせて育ってくれます。ただし、その特徴である香りがほとんどなくなってしまうのが欠点で、青臭いばかりでそのままでは料理には使えません。 そこで、「グリーク=ギリシア」という名前を持つ品種を別に育てています。

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薄桃色の一般品種に対して、グリークの花はほぼ純白となります。花や草姿も全体的に華奢なのが特徴です。また性質も弱く、夏には弱って成長が鈍り、冬は地上部を枯らして休眠します。
庭で育っているオレガノが冬でも元気に葉を茂られているのとは対照的です。

そんなオレガノ…ちょっと、というか、いや、ものすごく長くなってしまいましたが、保存版ノート。以下に以前にまとめたものを転載します。

◎ひるさいどはうす版オレガノ ノート

シソ科ハナハッカ(花薄荷)属(学名ではOriganum オリガヌム属)の多年生草本。

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▲花は小さいが、たくさんの蜜を出すらしく蝶や蜂などたくさんの
昆虫が訪れる。原産地では重要な蜜源植物になっているそう。

和名:花薄荷(はなはっか)、オレガノ

独名:Oregano
その他の名前、Echter Dost(エハタァードスト=真正のマジョラム)、Wilder Majoran(ビルダーマヨーラン=野生のマジョラム)、 Wohlgemut(ヴォールゲムート=朗らか、ご機嫌を意味する雅語)

英名: Oregano (wild marjoram) 
伊名: Origano comune 
仏名: Origan commun 
アラビア語: توابل (tawabul)

地中海東部地方(イタリア、バルカン、トルコ、パレスチナ、シリアなど)が原産地。古代フェニキア、ギリシア、ローマ人などによって広められヨーロッパや中近東、北アフリカの温暖な地域に広く分布する。メキシコや北米にも移入されている。

日本へは江戸時代末期に渡来し、当初観賞用に栽培されたため花薄荷(はなはっか)という和名が付けられた。

主産地はイタリア、ブルガリア、メキシコ、北米、ギリシア、トルコ、フランス、ポルトガルなど。

同じハナハッカ(Origanum )属のマジョラム(Origanum majorana)と混同されることがあり、その場合英語圏やドイツ語圏などでは、野生のマジョラムなどと呼ばれて区別される。

※なお、メキシカンオレガノ(Poliomintha longiflora)と呼ばれる中南米産のハーブがあるが、これは別属の植物で香りも異なる。(一度栽培したことがありますが、パクチーとセージを合わせたような強烈な匂いで、とても馴染めるものではありませんでした)

【香りの特徴】
ローズマリーやクスノキの香りの主成分であるカンファー(樟脳)に似た芳香とほろ苦さがある。マジョラムと似ているがそれよりチモール(タイムの香りの主成分)の含有量が多いため、ずっと野性的な印象を受ける。

スパイスとしては葉を使い、生のまま、あるいは乾燥品が使われる。収穫時期や産地によって香りの質や強さが異なる。一般に開花時期のものが最も香りが高まる。(ローマ在住の方によれば、シチリア産のものが最高で、他とは比べ物にならない、とのお話でした)

生のものは青臭さが強い一方、芳香は弱い。
乾燥品はその青臭さが消えて芳香が表に出てくる。

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▲旺盛に育つ庭のオレガノ、放っておくと胸の高さぐらいまで伸びてしまうので、  
初夏にいったん切り戻しをしています。それでも盛夏には一斉に花を咲かせてくれる。

丈夫なハーブで日本の高温多湿の夏にも耐えるが、香りの方は青臭さばかりが鼻につき、乾燥させても満足できる芳香はまず得られない。また、開花期の夏場に日本で乾燥させるのも難しく、料理に使うにはヨーロッパや北アフリカなどから輸入される乾燥品を使うことをおすすめする。

【使用部位】
フレッシュを使用する場合は、花が咲いている新芽の先端とその付近の葉を利用します。

【料理への応用】
フレッシュは、香りの高くなるが開花期(5月下旬〜8月上旬)を中心に利用できるが、上にも書いたように青くささが強い反面芳香は弱い。チーズや肉、魚料理の油臭さや生臭さを抑えるにはフレッシュも向いているが、あまりたくさん入れると苦くなるので注意。

通常は乾燥品を用いたほうが香りを楽しめ、効果も高い。

◎オレガノは、野菜料理、乳製品、肉料理、魚料理…と、多方面に利用できる万能ハーブ。ポイントは、セージ、タイム、マジョラム、バジルなど…その他のハーブと一緒に使うこと。

何よりもまず、トマト、チーズ、ジャガイモなどと相性が良く、トマトソースやトマトを使った料理にはバジルとともに使用され、トマトの青臭さを抑えて全体の香りをハーモニックに高める効果がある。 

同様にチーズ料理には、乾燥タイムや生のパセリと一緒に使うとチーズの油っこさ(脂肪臭)を抑え食べやすくしてくれる。脂肪による胃もたれも防いでくれる。

ジャガイモ料理では、塩コショウと共にオレガノを加えると美味しさがアップする。デンプンによる胃もたれも防いでくれる。 

他にナスやズッキーニ、パプリカなど主に夏野菜のソテーに、バジルなどと共に使うと、それぞれの野菜の癖を抑えて美味しさがアップする。野菜嫌いのお子様にも食べやすくなる。

◎肉料理ではチキン(鶏肉)やラム(羊肉)のローストやソテー、魚料理ではイワシやサバなどの青魚の臭い消しにも使える。この場合は、調理する前に塩コショウと共に食材に良く擦り込んで下味を付けておくと良い。 また、セージ、タイム、マジョラム、バジルなど同じシソ科のハーブと共に使うとオレガノ自身の癖が和らぐので、それらとブレンドして使うと良い。

【薬効】
古代ギリシアやローマでは、消化不良や胃痛、更には興奮剤、駆風剤、強壮剤、ぜんそく、せき、リューマチ、歯痛などあらゆる症状に用いられたという記録がある。

ドイツ語のハーブ事典では…、
「薬用としては、何よりもまず、芳香、食欲増進、消化促進、鎮痙作用(内臓平滑筋の緊張、痙攣を抑える働き)(腐敗菌などに対する)消毒作用、軽い興奮作用、そして去痰作用が評価されている。」とありました。

【栽培】
夏に乾燥する地中海地方を原産とするハーブの中では、最も丈夫なもののひとつで、雨が多く高温多湿に見舞われる関東以西の日本でもよく育つ。逆に寒さに弱く、東北以北の寒冷地では冬に鉢に移して室内で保護するなどしないと寒さで枯れてしまう。

種まき(春まき)からでも苗を育てられるが、発芽や初期成長に時間がかかるので、市販の苗を購入して育てたほうが便利。株分けや挿し木も簡単にできる。

雨に比較的強いと言っても、夏に乾燥する地域の植物なので、地植えにする場合は水はけの良い斜面地などが適する(平坦地では高畝にすると良い)。植木鉢で育てるときには水はけの良い土で植え付ける。

水やりは植木鉢の表面が乾くまで待ったあと、たっぷり与えるようにする。いつも湿った状態にすると根腐れし、下葉から黒く枯れていくので注意する。

お手入れは梅雨入り時に枝を間引いて風通しを良くしてあげると良い。病虫害にもすこぶる強く、シソやバジルを食べ尽くすオンブバッタや尺取り虫状の青虫(ウワバ類と呼ばれる蛾の幼虫)、アブラムシもあまりつかない。
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▲ハダニの被害を受けたオレガノ

ただ、風通しの悪い場所で葉を茂らしたままにするとハダニやアブラムシが付く場合がある。特にハダニの害が目立つ。

常時、葉を収穫、剪定しながら株全体の内部まで風を良く通すようにする。

もしハダニ、アブラムシが付いてしまったら食用油(脂肪酸グリセイド)を主成分としたアーリーセーフなどの商品名で売られている薬剤を使用すると良い。有機農法でも認められた薬剤で人畜無害、口に入れても問題のないもの。

開花は、早ければ5月下旬からはじまり、8月上旬頃まで次々に花を付けていく。和名で「花薄荷」という名が付けられている様に、ピンク色の愛らしい花を次々にたくさんつけて、観賞用にも十分になる。

【神話や伝承など】
オレガノの名前は、ギリシア語で「山の喜び」という意味の言葉に由来する。幸福のシンボルともされ、ギリシアでは婚礼の際に新郎新婦がオレガノの冠を被って幸せを祈るようになったという。

参考:
武政三男 『スパイス&ハーブ辞典』 文園社 1997

Das große Handbuch der Kräuter und Heilpflanzen Komet Vellag

A.W. ハットフィールド 『ハーブのたのしみ~料理、香料、栽培から文化史まで』八坂書房 1993

朝日百科 『植物の世界』朝日新聞社 1994

など